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は、生涯、添い遂げる伴


は、生涯、添い遂げる伴侶をみつめるかのように甘い。

 


 はあああああ・・・。避孕 もう溜息しかでない。

 


 この夜、村の人々は老若男女を問わず、おそくまで愉しみ、幸せをかみしめてくれた。

 


 このパーティーが、すこしはお礼と謝罪になってくれればいいのだが・・・。

 


 残り物、といってもほとんどないが、希望者におもちかえりしてもらった。現代のように、食中毒等の観点からお持ちかえり禁止というわけではない。というわけで、子どものいるお宅優先に、すこしずつもってかえってもらったわけである。

 


 


 


「花子の子どもたちの名前は、きまったんですか?」

 


 後片づけがおわったのは、懐中時計の針がAM1:00をまわったころであった。

 


 寝るまえに、相棒の様子をみにいくことにする。どれだけ「ふんっ」とされようが、めげている場合ではない。可能性のない恋の成就とおなじであろう。

 もっとも、そのうちストーカーだって、訴えられるかもしれないが。

 


 畜舎にいくと、安富は花子親仔の馬房にいる。最後の夜、いっしょに眠るつもりなのだろうか。

 


 かれのことだ。親仔かわいさに、「いっしょに連れてゆきたい」、といいだしかねない。

 


 一足先に畜舎にいった双子は、ちがう馬房のほかの牛馬の様子を、順番にみてまわっているらしい。

 


「母親が花子だから、花にちなんだ名にしようかと思ってな。牡馬を。どうであろうか。まぁ、どちらも木だが、花はきれいだからな」

「すっごくいいネーミング、もとい名づけですね。そっか。桜と桃、お母さんと仲良く元気に暮らすんだぞ」

 


 出産に立ち会ったので、思い入れがちがう。

 


 そこでやっと、相棒のことを思いだす、いや、相棒と向き合わねばと決心をあらたにする。

 


「兼定なら、奥でぽちたまといるぞ」

「ありがとうございます」

 


 おれのをよんだのか、安富がおしえてくれた。軽く頭をさげ、馬房をでてゆこうとする。

 


「主計、なにかあったのか?」

 


 背に、その一言を投げつけられた。

 


 その不意打ちともいうべき一言は、おれの心臓に負担をかけるに充分な威力が備わっている。

 


「え?なにかって?」

 


 なんて答えればいい?

 


「ずいぶんと悩んでいるようだが。兼定のこと・・・」

「ああ、そっちですか」

 


 心なしかほっとする。相棒との不仲?それとも、相棒への不義理?のことをいっているのか。

 


「そうなんです。やはり、おれが悪いんですかね?最近、相棒はおれを相棒と思っていない節がありまして・・・。ってか、もはや相棒からおろされてるって感じがして・・・」

 


 渡りに船的に、ぺらぺらと告げる。

 


 たしかに、相棒との関係も悩みの種ではある。が、それよりも重大かつ重要なことがある。

 


 だか、そのことに関しては、だれかれに相談できぬ内容である。

 


「おいおい、主計。兼定のことではない。わたしの話を最後まできかぬか」

 


 おっしゃるとおり。かぶせてしまったおれがわるい。そして、はやとちりでもある。

 


「おお、才輔」

 


 いままさに、ごまかすための台詞をいおうと口をひらきかけたタイミングで、馬房の外に副長があらわれた。

 


 グッドタイミングすぎて、思わず抱きつきたくなる。あ、もちろん、リアルにするわけはない。それだけほっとしたという、あくまでも比喩表現である。

 


 それは兎も角、あまりにもグッドタイミングすぎる。

 


 もしかして、ちかくできいていたのか?気配を殺して・・・。

 


「急なんだが、おまえにも会津にいってもらいたいんだ」

「ええっ?」

 


 いわれた当人だけでなく、おれも叫んでしまう。

 


「豊玉や宗匠ら馬を連れてな。馬は、馬車をひく馬が明日、やってくる。すべての馬を連れていってくれ。会津から急使がきた。会津が、おまえをほしがってる。馬術流の遣い手の力が必要らしい」

「か、かように急な・・・」

 


 斎藤と同様、突然すぎる命令に、動揺するのは当然であろう。

 


「おいおい、かようなはよせ。斎藤と同様、おれたちが追いつくまでの間の話だ。いって、久米部とともに、斎藤を助けてやってくれ。無論、はよせ。斎藤と同様、おれたちが追いつくまでの間の話だ。いって、久米部とともに、斎藤を助けてやってくれ。無論、流の遣い手が戦死したと、ききおよんでおります」

「え?そうだったのか・・・」

 


 俊冬の説明に、副長の反応がやや奇妙である。

 


「安富先生、会津の駒奉行はお二人とも根っからの文官でございます。安富先生の力を、頼りにされていらっしゃるはずです」

 


 俊冬は、言葉をつづける。

 


「斎藤先生と安富先生がいらっしゃれば、会津も心強きことでしょう。そして、それは同時に局長と副長の自慢でもございます」

 


 例の耳に心地よい言葉が、静かな馬房内をゆっくり漂う。牛馬もそれを子守唄とでも思っているのか、すっかり静かになってしまった。

 


「副長、会津でかならずやもどしてください。わたしは、