を向けてから副長をさえぎっていった。
かれは、事後避孕藥副作用 おれの心をよんだのだ。あっいや、だだもれになっているのに気がついたらしい。
無意識のうちに脚がとまっていた。おれだけではない。副長も島田も俊冬も俊春である。
蟻通だけが数歩すすんでから立ち止まった。それから、おれたちのほうに体ごと振り返った。
「正直なところ、気持ちのいいものではないな」
かれのに苦笑が浮かんだ。
「自身のなどしりたいとも思わなかった。なるようになる、と楽観していたからな。近藤さんや井上さんやおおくの仲間が死んでいってるっていうのに、自身が死ぬということはかんがえなかった。否、かんがえようとしなかった。わたしは臆病だから、無意識のうちにかんがえることを避けていたのだろう。そうか、死ぬのか……」
「いいえ、死なせませんよ」
俊冬が力いっぱい断言した。
「あなたが死なせてくれと懇願しても、にゃんことぼくで護り抜きます」
さらに全力で、俊春が宣言をした。
『あなたが死なせてくれと懇願しても』
その台詞のタイミングで、俊春のが副長にはしったのを見逃さなかった。
俊春は蟻通だけでなく、副長にも伝えてくれたのだ。
に気がついたようだ。刹那以下の間、イケメンにはっとしたようななにかが浮かび、すぐに消えた。
「ああ、わかっている。真実を伝えることしかできぬ主計とちがい、ぽちたまならかならずや護ってくれるだろう」
「蟻通先生、ちょっとまってください。真実を伝えることしかできないって……」
「誠のことを申しただけだ」
ツッコむと、蟻通は「それがなにか?」的に返してきた。
「それともなにか?そのときがきたら、飛んでくるを斬ったりつまんだり、あるいは大砲から発射されるを蹴とばしたり殴ったりして、わたしを助けてくれるとでも?」
「ぐううううう」
ぐうの音もでない、とはこのことである。
どちらもできるわけがない。
ってかそんなこと、だれにだってできるわけがない。
俊冬と俊春をのぞいて。
「おれの負けです。たしかに、実行にうつすのはぽちたまです」
だから、そうそうに白旗をあげて認めた。
そのとき、そのぽちたまが同時にちいさく咳ばらいをした。
いつの間にか伊庭が立ち止まり、体ごとこちらにむいている。
「どうされたんです、みなさん?」
「いや、なんでもない。主計が金子をもっていないといまさらいいだしたんでな。なら、皿洗いでも呼び込みでもして奢れといっていたところだ」
「歳さん、それはいくらなんでもひどすぎる」
「そうでしょう?いつもこんな調子なんですよ。八郎さん、あなたからびしっといってください」
ごまかすためとはいえ、副長はいまのおれの嫌味をマジにとらえられただろうか。
声を大にしていうが、いまのはごまかすためである。思いもしないことをいっただけで、本心ではない。
「嘘つき野郎」
「嘘つき」
「嘘つけ」
「大ウソだよね」
「嘘ばっかり」
「ふふふふふんっ!」
その瞬間、副長、島田、蟻通、俊冬、俊春、それから相棒にまで小声でツッコまれてしまった。
「とっととゆこう」
副長は、さっさとあるきはじめた。
蟻通とはあらためて話をする必要がある。
伊庭には、臨機応変に伝えることにするしかないだろう。
そのお汁粉の店は、SNS上で拡散されているかのごとく繁盛しているようだ。
噂通り、このくっそ寒いなか兵士たちが並んでいる。
「このままおれがいって並んだら、まえに並んでいる連中が気を遣いやしないだろうか」
その列をみてそんなことをいいだしたのは、副長である。
意外や意外、副長はプライベートで自分の地位をひけらかしたり利用することに抵抗があるようだ。
伊庭も同様のことを思ったらしい。「へー、歳さんも丸くなったものですね。昔なら、『どきやがれ!石田村の『バラガキ』様のお通りだ』なんていって、老若男女関係なく頭を小突きながら一番まえに並んだのに」
「ちょっ……。八郎、馬鹿なことをいうな。それじゃぁまるで、おれが狡い悪党みたいではないか」
「副長なら、やりそうですよね」
「そうだよね。副長なら、暴虐のかぎりを尽くしてしれっと先頭に並んでますよね」
副長が慌てて否定する横で、子どもたちがわけしり顔で納得をしている。
「主計っ、この野郎!餓鬼どもにどういう教育をしてやがる」
「はああああ?教育係は利三郎です。おれは、『兼定様の散歩係』なんですから」
でもって結果的には、理不尽にもおれが叱られるわけだ。
しかしながら、そんな副長の『陸軍奉行並のおれがいったら、兵卒たちが気を遣って一番まえに並ばせてくれるにちがいない』っていう心配は杞憂におわった。なぜなら、副長の
その副長は、俊春の