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をほそめてみている


をほそめてみている。

 


 まさしく、事後避孕藥副作用 横にいる相棒とおなじで、満足げにみている。

 


「副長・・・」

 


 あんなに黄昏ていたのに・・・。

 まるでなにもなかったかのように、ふるまっている。

 


 こちらのほうが、気をつかってしまう。

 副長は、おれが土手のうえからみていたことに気がついているのだろうか。

 


 おれの内心の動揺に気がついてかつかぬのか、相棒をはさんで向こう側におなじように体育座りをする。

で、しばし無言のまま、双子がぶつかり合うのをみまもる。「どうした。眠れぬのか?」

 


 副長は、は双子へ向けたままさらりと問う。

 


「はい。さみしくなったことと、数日さきのことを考えると、は双子へ向けたままさらりと問う。

 


「はい。さみしくなったことと、数日さきのことを考えると、のことなどどうでもいいようにふるまっていて、じつはを重んじすぎるきらいがある」

「ええ。おれもそう思います」

「かっちゃんの死を、身近に感じさせたくねぇ。あいつのことだ。一人でも敵に斬りこみ、派手に死んじまうだろう。に伝えられてることが、どうってわけじゃねぇ。新八や左之、総司や平助同様、あいつも生き残るべきだ。かようなくだらぬ争いで、は、肉弾戦を繰りひろげる双子へ向いているものの、ちがうものをみている。

 


 とめどなくでてくる想いを、おれはうまくキャッチできているだろうか。いや。キャッチはできているんだろうが、うまく返すことができないだけか。

 


 情けないことに、おなじようなフレーズを繰り返すだけで、気の利いた言葉の一つもでてきやしない。

 


「おまえも、あいつらもだ」

 


 副長はそうつぶやくなり立ち上がる。そこにきてやっと、おれをまっすぐみおろし苦笑する。

 


「無論、兼定もだ」

 


 そして、相棒にもいう。

 


 なら、そこに副長は入らないのですか?生き残るべきなのは、あなたも同様です。

 


 そういいかけるよりもはやく、副長は、土手をすべるようにしてさっさとおりていってしまう。

 


 雑草を踏みつける軍靴の跡が、二本の線となってまっすぐ伸びてゆく。

 


「相棒、いくぞ」

 


 おれたちも、慌ててそのあとを追う。

 


「おまえら、そのへんにしておけ」

 


 副長は、いまだ体術の応酬をつづける双子にちかづきつつ怒鳴る。すると、双子は同時にバック転でたがいに距離をおき、構えと気をとく。

 


 息を整えつつ、着物を着なおしながらこちらへちかづいてくる。

 


「怪我はしてねぇだろうな」

「させぬよう、手を抜いておりますゆえ」

「させてはいかぬゆえ、力をおさえておりますゆえ」

 


 副長の問いに、俊冬と俊春の答えがかぶる。

 


「なにぃ?最近、兄をないがしろにしてはおらぬか、ぽち」

「なんと。たまこそ、弟に理不尽な暴力をふるってばかりではありませぬか」

 


 同時にいいあう双子。

 


 副長がちいさく笑う。それにつられ、おれたちも笑ってしまう。

 


「風呂で見苦しいっていってたのは、その傷のことだろう?」

 


 副長は、不意に笑いをおさめ、すらりとした指で俊冬、それから俊春のはだけた胸元を指し、問う。

 


「主計とおなじような傷痕がおおいな」

 


 その指摘に、俊冬はちいさく息をはきだし、俊春は口の形も心中もよまなかったていで通すつもりなのか、を泥まじりの地面へと向ける。

 


 副長のいう、おれとおなじような傷痕というのは、銃創によるものである。

 


「この道に入り、ずいぶんと経ちます。依頼は、異人に関係するものがおおございます。刀や槍を相手にするより、拳銃や銃といった飛び道具を相手にすることのほうが、ほとんどというわけです。まだ幼きは、銃そのものがわかっておらず、無鉄砲にかかっていったものでございます。そして、わが身をもってその怖ろしさや威力を学んだのです」

 


 俊冬は、副長から川の水面にから、暗殺や密偵を?

 


「二人とも、それにしちゃぁ傷痕がおおすぎやしねぇか。おれは、銃に関しちゃ素人だが、そんだけを喰らって、よく生きてるなって思っちまう。主計なんざ、たった一発で死にかけたらしいしな」

 


 あの、副長。高齢者の病気自慢じゃないんですから、そんなこと引き合いにださないでいただきたいです。

 


 俊冬は水面からおれへ、俊春は地面からおれへ、刹那くらいの間、が移ってから、まだ元の位置へ戻る。

 


 てっきり、俊冬が「腕がちがう」とか「主計は油断しすぎ」とか、揶揄ってくるものとばっかり思っていた。

 


 うむ。いつものノリならそうくるはずだ。が移ってから、まだ元の位置へ戻る。

 


 てっきり、俊冬が「腕がちがう」とか「主計は油断しすぎ」とか、揶揄ってくるものとばっかり思っていた。

 


 うむ。いつものノリならそうくるはずだ。

 


をみて不愉快にこそなれ、けっして愉快でも気持ちのいいものでもありませぬ」

 


 そうしめくくる。

 


 思わず、副長とを合わせてしまう。

 


「見苦しい、か。おれにいわせりゃぁ、立ち向かうべきを向かわねぇというほうが、見苦しいって思うがな。まっ、一番は立ち向かって傷を負わねぇってこったろうが・・・。このおれ様みてぇにな」

 


 んんんんんんんんんん?すみません、副長。急に聴覚機能が断線してしまったようです。

 


 俊冬も同様のようだし、俊春にいたっては、いまのタイミングで意識ごと地底奥深くまでもぐりこんでしまってる。

 


「ちっ・・・。